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無断転載禁止。Reproduction Prohibited.
注:ここに記載された内容は、空亡著である小説『欲望の守護神』のための設定資料です。
すべてはフィクションであり、実在の個人・団体等にはいっさい関係ありません。


神への定説(出典項目)
『神は世界を救っている』(1-2)
 “欲望”は、生物がもつ先天的能力である。生存に必須で、本能とも結びつく。されど制御こそ困難である。人類も、様々な愚を犯してきた。文明が飽和しての崩壊、権力を奪いあっての戦乱、過密化においての疫病の蔓延、はては血縁を尊ぶあまりの寿命の低下。どれも滅亡する。しかしやがて人口爆発がおき、その滅亡は、地球の滅亡と引き換えるまでになった。そこで“世界”、あるいは“人類の集合的無意識”は窮地を察し、必然性から全知全能たる“神”を生んだ。その出現によって欲望は制御され、世界と人類は保たれている。つまり、神は世界を救っている――という。

『媒介者は神の化生に不可欠』(1-2)
 媒介者とは、特殊かつ強力な欲望をもつ希少人種を指す。これが神の化生(けしょう)には不可欠である。元来“完全体”たる神は形を持たない。それに媒介者は偏りをもたらす。個人・人体の知識をあたえ形状を構築、さらに維持しつづけるため不老となる。よって媒介者もまた保つべきもの――という。

『媒介者は蟒蛇(うわばみ)』(1-5)
 媒介者は、たいがいにおいて長寿だ。神が、歳経ることを許さないからだ。そこで、飲み続けた酒への耐性が増してしまう。

『人間という生物は、基本的に満たされてない』(1-5)
 その説によれば、人間とは大半が“真の満足”を知らず、死にゆくものであるという。それでこそ継続する。いつか満たされることを目標に生き、叶わずとも子に託そうとする。それが人類の、ここまでの繁栄を築いてきた。

『媒介者の条件』(1-5)
 満たされることの出来る人間である。「これが媒介者の基本条件、いわば人種に当たります」 されど、これが生きのびるかといえば難しい。すでに達成しているから、残る必要がない。そうして個体が失せるからには、種として定着もしない。「だからこそ、極めて希少」 ところが、さらなる突然変異はどこにでもあるもの。長い年月を経るうちには、満たされても何らかの理由で死なない者、さらには欲求を維持しつづけられる者が、ごくごく稀に出現する。「それこそが神を具現させることを許された、媒介者たる資格を持つ人間です」

神への供物定義
 >幣帛(へいはく):衣服、道具など
 受け取られずとも、捧げた時点で決定。すべて日蛇による儀式を通し、世界へと返される(焼く、解かす、埋める、流す等)。

 >神饌(しんせん):飲食物
 媒介者への酒などは、容器を開けた時点で決定。でなければ持ち越しできるが、余ることはない。

 >直会(なおらい):ともに食事をする
 神との食事、媒介者と酒を飲むとした行為のすべて。残りを持ち帰れば幣帛と同じく儀式となるが、榊へ、とされたものは後にもごく普通に食す。また、レストランなどの場合は、代金が払ってあればよしとされる(奇異の目を引かぬため)。